横浜市営バスあれこれ
路線・運用編第10弾
他社に移管された路線、他社から移管された路線

 横浜市内には横浜市交通局の他多くの民営のバス会社によるバスが運行されています。東京都の場合は大ざっぱに見ますが山手線の内側及び江東、深川などの地域は都営バス、それ以外のエリアは民営バスというような棲み分けがある程度出来ています(これは太平洋戦争前の政策によるものです)が、横浜市の場合はその棲み分けに失敗し、現在に至っています。

 棲み分けに失敗した結果、一つの道路に複数の事業者が路線免許を申請しようとし、その事業者同士でのトラブルが多発しました。そのため、昭和30年代半ば以降横浜市と他の民営会社間において路線の調整が行われるようになりました。そして、一部の路線においては相互乗り入れを行ったり、また路線によっては実際に担当会社が変更になる例もありました。

 ここではそういった系統を探し出して紹介していこうと思います。なお、時代的にはこの年代だけではなくもう少し古い時代からさかのぼりましょう。

 開業間もない市営バス路線の一部を京浜急行(当時は京浜電鐵)に委託して業務を行っていたという話はこのコンテンツの最初の方で説明しました。この路線、太平洋戦争が終わる頃まで結局京急から取り戻すことが出来なかったのですが、戦後市営の路線となりました。

 さて、次に出てくるのが市営から京急に路線を譲渡した系統です。(旧)26系統白山道循環線です。金沢文庫〜金沢八景にかけての区間を循環する路線です。もともとは市営バスの路線でした。昭和26年4月に運行を開始した路線ですが、昭和33年3月に市営バスは廃止となり、京浜急行に路線は引き継がれました。これが市営バスが他社に路線を譲渡した明確な例の一つです。

 この他にもはっきりとは言えませんが3代目6系統(横浜駅〜横浜新道〜戸塚駅)の後を相鉄及び神奈中バスが引き継いだ(華道かはまだはっきりしていませんが)例もそうかもしれません(現在詳細調査中)。

 一方、市営バスが民営の後を引き継いだ路線というのもあります。一番はっきりした例は現在の17(109)系統の大黒ふ頭循環線がそうです。意外に思う方が多いかと思いますが、大黒ふ頭及びふ頭内のC*バース、L*バースといった区間にはかつて(それも割に最近です)別な会社による路線バスが走っていました。その会社とは「ポートサービス」といい、横浜港内で遊覧船を運航している会社です。

 この会社の走らせていた路線は大黒ふ頭からの循環線で、そのバス乗り場までのアプローチは対岸の大桟橋からの船というものでした。つまり、大桟橋から船で大黒ふ頭まで来て、そこでバスに乗り換えてふ頭内を循環するというスタイルのものでした。大桟橋から大黒ふ頭までが10分、そこからバスでL8バースまで10分というものでした。

 昭和58年11月に運行を開始しました。大黒ふ頭に営業所が設けられ、営業を行っていたようです。当時の大黒ふ頭は一般の人が気軽に行くことの出来るところではなかったので、実際に私が見たわけではありません。なかなかユニークなルート、営業形態だったのですが、結局大黒ふ頭への輸送シェアを確保できなかったようで、3年持たなかったようです。昭和61年の9月には現在の17系統の大黒ふ頭循環線が出来たのです。昭和62年2月にこの区間をはじめて乗ったときに運転手さんと話をして、このバスの話をしたところ、「これはうち(市営)が引き継いだんだ」ということを話してくれました。これが他社路線を引き継いだ路線の紹介となります。

 なお、この他に未確認ではありますが、相鉄バスから市営バスに引き継がれた路線があります。横浜駅西口〜新開橋間の路線です。そう、現在の95系統です。市営バス95系統ですが、実は運行開始当初は横浜駅西口〜小机〜川向町〜新羽町折返場という路線でした。運行開始は昭和43年11月です。それが昭和46年7月に現在の第3京浜ルートとなったのです。一方、相鉄バスは昭和41年12月に横浜駅西口〜第3京浜〜新開橋というルートの免許を取得しています。現在では相鉄バスがないので、相鉄バスが撤退したはずですが、それがいつのことか、相鉄バスが撤退した後で市営バスが運行を開始したのかが現在不明です。それが判明できればまたこのページを直していこうかと思います。また、相鉄に関しては2003年に横浜駅西口・保土ヶ谷駅東口〜児童遊園地間が撤退し、市営バスの53系統がこの路線を引き継いだと言う例もあります。

 53系統のような系統が出来る一方、市営バスでは経営改革の一環として民営バスとの乗り入れ、競合路線を民営バスに移譲するする方針をとり、2006年1月末に30系統、71系統、203系統、206系統が神奈中バスに移譲されました。今後平成18年度までにいくつかの路線が民営バスに移譲され、その結果市営バスが姿を消す区間が多々出てきます。

 このページの趣旨とは多少異なりますが、現在では市営バスが撤退した民営バスの区間及び現在民営バスが撤退した市営バス区間をいくつかあげてみようかと思います。なお、路線移譲が進むとこの表の項目が今後増えていきます。

1.市営バスが撤退した主な民営バスの区間(2008,−4,−6:5系統、88系統、115系統、116系統を追記、302系統の記述を一部変更)

市営バスが撤退した主な民営バスの区間
区間 民営バス会社 撤退時の系統番号
東福寺前〜川和町 東急 3、95
梅田橋〜川向町〜泉谷寺前 東急 3、41
中原〜宮の前 京浜急行
町屋〜追浜天神橋 京浜急行
鶴ヶ峰駅〜亀甲山〜下鶴間、若葉台南、動物園入口 神奈中 5(、115)
岡沢町〜戸塚駅 神奈中、相模鉄道 (3代目)6
片町〜上市が尾 東急 (4代目)6
港の見える丘公園前〜蒔田駅前 神奈中 11
保土ヶ谷町2丁目〜鶴ヶ峰 相模鉄道 (初代)12
矢向〜江ヶ崎〜矢向 川崎鶴見臨港 18
白山道周辺 京浜急行 (初代)26
新吉原橋〜上永谷駅 神奈中 30
市が尾駅〜(国道246号)〜荏田新道 東急 33
あざみ野駅〜たまプラーザ駅 東急
港南車庫入口〜大船駅、本郷台駅 神奈中、江ノ電 (先代の)40
上鉄鴨志田口〜鉄町 東急、小田急、神奈中 43
市が尾駅〜桐蔭学園、鴨志田団地、寺家町、すみよし台 東急
平戸〜芹ヶ谷 神奈中 45、77
国道平戸〜戸塚駅 神奈中 53
磯子駅前〜磯子センター〜浜小学校前 神奈中 60
南区役所前〜蒔田橋〜通町1丁目 神奈中
金沢工業団地周辺 京浜急行 61
打越〜関の下 江ノ電 69
上大岡駅〜芹ヶ谷 神奈中
港南区総合庁舎〜日限地蔵入口 神奈中 71
末吉橋〜江ヶ崎 川崎鶴見臨港、臨港グリーンバス 72
平戸〜平和台(折返場手前の交差点まで) 神奈中 77
堀の内〜東山田駅入口〜道中坂下
(営業運転のみ)
東急 88
氷取沢〜金沢文庫駅西口 京浜急行 107
杉田〜杉田平和町 京浜急行 110
鶴ヶ峰駅〜今宿ハイツ循環 神奈中 115
若葉台南〜大貫橋〜三ツ境駅 神奈中、相鉄 116
青葉台駅〜神前橋、緑山循環部分 東急 118
三枚町〜川島町 神奈中 121
本郷町〜みなと赤十字病院 フジエクスプレス 134
横浜女子短期大学前・原〜本郷台駅前 神奈中 138、139
港南車庫入口〜原 神奈中 139
(保土ヶ谷バイパス) 相鉄(性格が多少異なる) 150
平戸〜東戸塚駅 神奈中 203、206
最戸町〜南小学校前 神奈中 206
東山田駅〜センター北駅、都筑水道局土木前 東急 302
新羽町〜新栄高校北口 東急 303
北山田〜研究所前 東急 303
茅ヶ崎新道〜勝田 東急 307
茅ヶ崎新道〜サントゥール中川 東急 311

2.民営バスが撤退した主な民営バスの区間(2008,−4,−6:追記)

民営バスが撤退した主な市営バスの区間
区間 民営バス会社 市営バス関連系統
菖蒲園前〜東神奈川駅西口 東急 59、(初代)80
港北区総合庁舎〜新横浜駅 東急 (東急バス単独路線)
勝田〜仲町台駅〜佐江戸 東急 80、88
佐江戸〜中山駅(南口) 東急 88
東急バスは中山駅北口発着に変更後廃止
池田〜センター南駅 東急 301他
新北川橋〜東山田駅 東急 88、302
都筑区総合庁舎〜新北川橋 東急 303
小川橋〜鴨居駅 相模鉄道 (相鉄バス単独路線)
片倉町入口〜新横浜駅 相模鉄道 (初代)108
市民病院入口〜新開橋 相模鉄道 95
児童遊園地〜保土ヶ谷橋 相模鉄道 53(路線移譲)
県庁前〜本町4丁目 相模鉄道 8他
桜木町駅前〜浜松町 相模鉄道 47、103など
下白根橋〜千丸台団地 相模鉄道 62
大黒ふ頭内 ポートサービス 17

 2.からですが、相鉄バスはかつて(旧)108系統と共同運行で横浜駅西口〜新横浜駅間を走行していました。また、一時期は鴨居駅にも乗り入れていたようです。児童遊園地〜保土ヶ谷橋間は現在の53系統になります。


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